タディのブログ

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【映画寸評】踊る大捜査線 THE MOVIE3

踊る大捜査線 THE MOVIE 3

踊るを観に行く観客は「良い作品」を期待するのでしょうか?「踊る大捜査線らしい作品」を期待するのでしょうか?

以前のブログではたまにやっていたのですが、気が向いたので本ブログでも不定期に書いていこうと思いました。 元物書きなので非常にシビアです。

踊る大捜査線 THE MOVIE 3 非常に残念な作品です。前作、前々作と良い作品だっただけに。 誤解のないように先に言っておきます。映画作品としては良い作品だったと思います。

ただ、この手のテレビシリーズの延長線上に当たる作品は、自分にとって作品としての出来よりも「その作品らしさ」が非常に重要です。 つまりこの作品「良い作品であるか?」以上に「踊る大捜査線らしいか?」という点を大事にしたいという点です。 この点において、本作品は非常に出来が悪い作品であったと言えると思います。

※以下、ネタバレを含みます。

本作品は、青島(織田裕二)が非常に重い病に掛かっていると医者から「誤って」診断され、それが湾岸署の口の軽い人達によって周知の事実となる、という要素が非常にストーリーの重要な部分を占めます。 その病の情報は誤りです。しかし、その噂は恩田すみれ(深津絵里)にも伝わり、二人の勘違いを中心に話が進んできます。 ですが、観客はその二人の重い空気が事実に基づかない勘違いであることを知っています。そこで笑いが生まれる構成になっているのです。お笑い好きの方ならば「アンジャッシュのすれ違いコント」と言えばイメージできると思います。

自分は、踊るの魅力というのは、いつもは仲間内でコミカルな会話を繰り広げておきながら、犯罪に対しては非常に真面目に取り組むというギャップが大きな要素であると思います。 その大事な部分は今回はない。 ハッキリ言って今回の恩田すみれの位置は「勘違いしたボケ役」であり、そこにはリズムの良い掛け合いなどは存在しません。それはこれまでの恩田すみれの役どころとは明確に異なります。 勘違いしてほしくないのですが、そういう役を担うのが悪いということではありません。それを担ってしまったがために、踊るの以前までの魅力を完全に殺してしまっているのが問題だと言っているのです。

また、それまでのコミックリリーフであった真下正義ユースケ・サンタマリア)は、もはや既に真下ではなく、ユースケ・サンタマリアでした。彼の役柄は思い込みが激しく、全体の一服の清涼剤であったのにも関わらず、その姿は「ぷっすま」などに出てくるユースケ・サンタマリアそのものでした。 これも、本作を非常にチープなものにしてしまっていると思います。

また、今までの盛り上がりどころは青島と室井(柳葉敏郎)との会話で成立していたものが、なくなっており、それも以前からのファンの期待を裏切ったと言えます。

以上の理由から、自分は本作品は今までの踊るからの脱却を目指して脚本が書かれたのではないかと思います。 しかしながら、それは自分にとって大きな過ちに感じられます。 踊るを観に行く観客は「良い作品」を期待するのでしょうか?「踊る大捜査線らしい作品」を期待するのでしょうか?

踊る4があるかはわかりませんし、大人の事情もあるのでしょう。 しかし、本作は踊る大捜査線としては失敗作と言えると思います。 非常に大好きな作品なだけに、非常に不満の残る映画でした。