タディのブログ

人狼ゲームのことや、猫カフェの画像や身近に起きたことを適当に書いてます。旧薫平ブログです。

【映画寸評】Mr.Children / Split The Difference #eiga #movie

[caption id="attachment_765" align="alignleft" width="275" caption="Mr.Children / Split The Difference"]Mr.Children / Split The Difference[/caption]

■最初に この映画の存在を知って、最初に浮かんだのはマイケル・ジャクソンの「THIS IS IT」でした。 ですが、この映画を見終わって感じたのは「THIS IS IT」のような一人のタレントの力ではなく「新しい映画館の可能性」でした。 それは、レコーディングスタジオと映画館の共通性である「箱」という概念です。

この作品は映画ではなくドキュメントです。 ですが「映画館で観るべき作品」だと強く感じました。

以下、ネタバレを含みます。 Mr.Children 1992-1995

■概要 最初のシーンは、レコーディングスタジオで、Mr.Childrenのメンバーがレコーディングの準備をしている様子から始まります。 この「準備」の画面は白黒の画面で描かれます。 今思えば「イントロ」にあたる部分だったのかと思いますが、正直この数分はそれからの2時間が少し不安になりました。 単なるドキュメント。ただの音楽が流れる映像。 そんな印象を受けたからです。 ですが、音楽が始まると同時に画面はカラーになり、映画館音響により360度から音楽が響いてきます。 その色と音と共に目の前の映像が急に「画面の向こう」から現実に変わります。 この映画はこの繰り返しです。 Mr.Childrenのメンバーやプロデューサーの小林氏が一曲一曲を、数十人のライブのためだけにアレンジをして、練習をして、完成するパートが白黒の画面でドキュメントタッチで描かれ、実際に演奏する瞬間にカラーになる。その繰り返しです。 映像もいわゆる全体を写す「引き」の映像ではなくて、メンあバー一人一人の表情や演奏の動きをアップで映し出します。 ライブに行く場合、最前列であったとしても、アーティストは「舞台」にいます。 しかし、この映画を観ていると、まるで自分がレコーディングスタジオにいるような、もっと言えば「自分がMr.Children」のメンバーであるかのような錯覚を覚えるのです。 それは非常に心地よい時間でした。 実際の収録も決して大きいとは言えないレコーディングスタジオに20人程度の身内を集めてライブをしているようです。 一曲が終わるたびに決して大きいとは言えませんが拍手が起きます。 そのような流れが続いた後、スガシカオさん、salyuさんを実力の高いゲストボーカルに向かえて、それまでの起承転結の承から転に移ります。二人のゲストボーカルの後に再び桜井さんのボーカルで「終わりなき旅」。流れ的にはこれで終わりかなと思わせられましたが、そうではありませんでした。 全体的にゲストボーカル二人まで、終わりなき旅まではの曲はMr.Childrenのポップな曲が多めでした。 しかし、ここからは「ニシエヒガシエ」「横断歩道を渡る人たち」とMr.Childrenの尖った曲が多くなってきます。 特に「横断歩道を渡る人たち」はマキシシングル「GIFT」にのみ収録の曲で自分もあまりゆっくり聞いたことがなく、非常に新鮮でした。 POPからROCKへのシフトチェンジ。さきほどは起承転結を引き合いに出しましたが、ここのイメージは世阿弥風姿花伝序破急の急のようです。 これは最新アルバム「SUPERMARKET FANTASY」でのレビューに見受けられる「POP過ぎる」といった評価に対するアンチテーゼにも見えました。 そして、この映画は急に終りを告げます。 エンディングロールは新曲(現在非発売)の「Forever」で閉められます。 ドラムの鈴木英哉が「歌詞がいい」と本編でも言っていますが、バラードテイストの非常に歌詞に重きをおく楽曲で胸に響きました。 この作品も、スタッフロールの後に映像があります。 ■終わった後の感想 ドラムの鈴木さんの陽気さが非常に印象に残りました。 桜井さんを除く他のメンバーは非常に無口でほとんどが譜面を真剣に見つめる姿が多かったのが、今作品において一人でコミックリリーフを行っていた印象があります。素でもあるのかも知れませんが、映画全体を通して「もし鈴木さんの明るさがなかったら」全く違った作品になっている違う作品になっていたと思えます。 また、白黒画面の「ゆるさ」が少し間延びの原因になっているかもしれません。 幕が降りた後の帰り道では「前半の20分で寝そうになった」という声が何人かから聞こえました。 ですが、曲が掛かっている間は凄いの一言です。 テレビの歌番組など比較にならない映画館という「箱」が奏でる音は、至近距離の映像と共にその場にいるように感じます。 高級なホームシアターセットなどでも同じような感覚を与えてくれるのかもしれませんが、映画館独特の広々とした感覚は独特のものだと思います。 特に「横断歩道を渡る人たち」やsalyuさんをゲストボーカルに向かえてのセッションは圧巻でした。 この作品は「映画としては価値はなく、ドキュメントとしては俊逸。そしてドキュメントでありながら音響の良い映画館で観るべき」という不思議な映画であると思います。 今週末9/17までの公開ですが、是非とも劇場に足を運んで観ていただきたいと思います。 おそらくは90年代にMr.Childrenの曲を愛していたが、今少し距離を置いている、そういった方に是非オススメ致します。 Mr.Children 1996-2000