タディのブログ

人狼ゲームのことや、猫カフェの画像や身近に起きたことを適当に書いてます。旧薫平ブログです。

【書評】佐々木俊尚(.@sasakitoshinao)著 「本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み」

 

読了しました。 本作品の内容はタイトルの通りです。 各項の構成は次のとおりでした。

1.サイトの概略 2.サイト制作の経緯や、企業者の逸話 3.サイトの使い方の説明、特徴、他サイトとの明確な比較 4.何故ユーザーがそのサイトを使うようになったかの要因の考察

読書後の感想としては、全体的な流れが統一されていて非常に読みやすかったです。 特に自分は男なので女性向きサイトに触れることがないため、その内容は非常に興味深い内容でした。

この本は他のサイト紹介本と一線を隠しています。 それは、サイトの制作、開発に至る過程が非常にシンプルかつ分かりやすく描かれていることです。 雑誌で1ページに複数のサイトを200字程度でまとめた特集記事とはスケールが違います.

例えばクックパッドの説明の項では、クックパッドの創業から事業が軌道に載るまでが非常に分かりやすく、かつ、少ない文章量で描かれています。 表のサイトの特徴や、使えるウェブサイトとしての仕組みが「何故作られたのか」というまでが自然と入ってくるのです。 これは、著者である佐々木俊尚氏のこれまでの経歴に裏付けられた文章力によるものだと言えます。 また、いずれも佐々木氏が得意とするソーシャルメディアからの視点による記述が多く、ソーシャルメディア全盛の今だからこそ深い意味を感じる点も多く、現代の流行のサイトの多くがUGC(ユーザー・ジェネリック・コンテンツ。ユーザーが作成するコンテンツ)に支えられていることが非常に重く感じられます。

本書は「こういうサイトがある」というただの紹介文ではありません。 タイトルのとおり、現在サイトを運用しているWEBマネージャーの方や、これからWEBの世界で起業を考えている人に過去の成功例をまとめて分からせてくれる参考書でもあると自分は感じました。これからWEBの世界で生きようとしている方には是非とも手に取っていただきたいです。

そんな、自分は現在WEBサイト開発のプロジェクトマネージャーとしてWEBサイトの作成側に身を置いています。 本書に書かれているサイトの3分の1以上は実際に自分が使っているサイトでした。 しかし、いずれもなぜそれらのサイトが他のサイトより優れているのか、という点についてゆっくり考えたことはなかったのです。 本書でそれが理解でき、少し、目の醒める思いです。 起業家、WEBマネージャーだけでなく、SEや、現場のプログラマーにも是非読んでいただきたい良著だと思います。

基本的にそつなくまとまっている本書ですが、一点気になる点もあります。 それは、WEBサイトというのは日々進化しているという点です。 本書は2007年からの連載をまとめたものなので、致し方ない点もあるとは思うのですが、その進化にも触れて欲しかったと思います。 それぞれのWEBサイトの大事な点は当時も今も変わらないと思います。 ですが、タイトルである「本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み」は日々進化し、変化し続けるものだと自分は考えるからです。 その点の加筆、後日談があれば、もっと良い本になったのではないかと、そう思えてなりません。 出版社との関係、時間的な制約などたたあるのでしょうが、もし機会があればその後のそれらのサイトや、他のサイトの仕組みについても読んでみたいものです。